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研究活動

⾃殺発芽剤を用いた寄⽣雑草ストライガ防除技術の開発:槇原 大悟

槇原 大悟

寄生雑草ストライガによる穀物生産への被害は、アフリカの食糧問題を引き起こす最大の要因の一つと言われています。ストライガは、ソルガム、トウモロコシ、陸稲等の主要穀物に寄生するため、年間8,000億円相当の穀物がアフリカから失われており、その被害を受ける人は3億人に上るとまで言われています。これまで、化学、生物、農学、教育、習慣等それぞれの観点からの対処が試みられてきましたが、この被害を食い止めるには至っていません。

穀物生産に甚大な被害を及ぼしているストライガを根絶するための中核を担う技術と位置づけられているのが⾃殺発芽剤です。自殺発芽とは、宿主に寄生しないと生存できないストライガの性質を利用して、土壌中のストライガ種子を薬剤により強制的に発芽させて枯死させるというコンセプトです。

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)の土屋らは、ストライガの種子が宿主植物の根から放出されるストリゴラクトンと呼ばれる植物ホルモンに反応して発芽する現象に着目し、従来知られている中で最強クラスの発芽刺激作用を持つ人工化合物スーパーストリゴラクトン(SPL7)を開発しました(Uraguchi et al., 2018)。しかし、SPL7を実際のストライガの防除に応用するためには、実験室で得られた理論をアフリカ現地の圃場で検証した上で、SPL7を利用した作物栽培体系を確立する必要があります。実践アフリカ開発研究室は、ITbMと連携し、ケニアにおいて⾃殺発芽剤SPL7を利用したストライガ防除技術の開発に取り組んでいます。


ストライガ(紫色の花をつけた植物)に寄生されたトウモロコシ

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