イベント情報
2013年度第2回オープンセミナー
"アフリカにおけるイネいもち病害に対する安定的防除体系開発に向けて"
更新日:2018年07月09日
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開催報告
サハラ砂漠以南のサブサハラ・アフリカの国々では、コメの消費が急激に拡大してきていて、生産が追いつかない状況です。日本が支援するケニア、ウガンダ、ガーナ、セネガル、マダガスカル等23カ国は、コメの生産向上に向けて国を挙げて努力していますが、まだまだ追いついていません。一方、栽培の増加に伴い病害虫が発生し、とくにいもち病は大きな問題になるのが常です。現に、私たちはケニアで発生を確認し、被害が甚大になった例を知っています。この病害は農薬による防除が一般的ですが、途上国では様々な事情によって農薬が効果的に使えないのが現状ですので、抵抗性品種の育成は何よりも重要な対策となります。
国際農林水産業研究センターの福田善通プロジェクトリーダーは、国際稲研究所(IRRI)を拠点としたアジアでのこれまでの研究経験を活かし、現在、農学国際教育協力研究センターと共同で、アフリカのこの問題に取り組んでいます。第2回オープンセミナーでは、ケニアの調査事例をもとに、イネいもち病害に対する安定的防除体系開発に向けた課題について議論しました。本人がIRRIで開発した世界のいもち病菌レース検定のための標準品種群を用いたベナンとケニアの結果では、真性抵抗性遺伝子の分布や多様性が日本と異なります。圃場抵抗性を基準とした抵抗性遺伝子集積による品種育種の戦略など、参加した約20名の教員、院生、愛知県のイネ育種研究者の間で、熱い議論となりました。
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概要
開催日時 |
2013年7月29日(月)15:30 - 17:00 |
開催場所 |
名古屋大学農学部第7講義室 |
講演者 |
福田善通 (国際農業水産業研究センター・生物資源・利用領域プロジェクトリーダー) |
言語 |
英語 |
(独)国際農林水産業研究センター(JIRCAS)は、2006年よりアジアの熱帯地域を国際稲研究所(IRRI)と、西アフリカをアフリカライスセンター(AfricaRice)と、また2011年より名古屋大学農国センターと共同で東アフリカ(ケニア)を対象とした国際的なネットワーク研究「イネ安定生産のためのいもち病研究ネットワーク」を推進している。本研究では、共通の材料および方法を用いて、いもち病菌レースやイネ抵抗性遺伝子同定のための判別システムの開発・普及を目的としている。
今回の講演では、このネットワーク研究を通して明らかにされつつあるアフリカにおけるいもち病害、いもち病菌レースの分化、イネ遺伝資源の変異の状況をアジアの結果と比較しながら紹介し、いもち病害防除体系開発のための課題と推進方向についての考え方を論じる。
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