イベント情報
2013年度第3回オープンセミナー
"エチオピアの農民研究グループ活動:農家取得種子の質の向上による小麦の増収"
更新日:2018年07月09日
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開催報告
農民が抱えている作物栽培上の問題を農民と一緒に考え、農民の畑で研究して解決する。それがもっともストレートに農民に伝わる技術開発のやり方ではないだろうか。このような考えに立って実施されているのが、エチオピアにおけるJICAの「農民研究グループを通じた適正技術開発・普及プロジェクト」です。今回のセミナーでは、北部エチオピア・チグレ州メケレ大学のアレム・ゲブレツェダカ氏に、実際に農民と行った小麦種子の塩水選による収量向上効果について報告してもらいました。
生卵が縦に浮く程度の食塩水(食塩2.4kg/10L))で農民が収穫・保存しておいた小麦種子を塩水選し、中身の充実した重い種子を選んで栽培すると小麦収量が1~2割程度高くなりました。この傾向は、収量レベルが低いが調理特性に優れて人気のある品種と多収性の2品種のいずれでも見られ、塩水選の効果に品種間差はありませんでした。収量構成要素も調査しましたが具体的なデータは示されません。おそらく単位面積当たりの穂数が増加したものと推察されます。
塩水選は日本ではイネの優良種子の選別に一般的に用いられている技術です。農民と一緒に行い実際に畑で栽培し、その効果を示すことが農民の理解を得るいい方法であることが示されました。まさに百聞は一見に如かずです。技術としてはとても基本的なことですが、収穫した種子を次の栽培にも使うやり方が一般的なこの地方の農民にとって、比較的経費のかからない塩水選は小麦の収量を上げる技術として普及していくことが期待されます。
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概要
開催日時 |
2013年9月26日(木)15:00 - 16:30 |
開催場所 |
名古屋大学大学院生命農学研究科A棟673号室 |
講演者 |
Alem Gebretsadik (エチオピア・メケレ大学講師) |
言語 |
英語 |
作物の生産において種子は最も重要な資材です。天候不順で投資効果が必ずしも期待できない条件では、農家は投資を控えるのが普通ですが、そのような条件でも優良種子を使えば収穫を増やすことが可能と思われます。エチオピアでは一般に農家が収穫した種子を翌年そのまま使用します。しかし、農民研究グループ(FRG)の活動で、農家が自ら取得した小麦種子の塩選によって優良種子を選び、栽培したところ、多収が得られました。その事例を研究者本人が紹介します。
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