イベント情報
2014年度第1回オープンセミナー
"東南アジアにおける気候変動に対応した天水稲作版意思決定支援システムの開発"
更新日:2018年07月09日
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開催報告
農学国際教育協力研究センター2014年度第1回オープンセミナーが4月14日に開催されました。2010年からフィリピンにある国際稲研究所(IRRI)で共同研究している国際農林水産業研究センター(JIRCAS)の林慶一氏が、地球規模の重要課題である気候変動下での稲作の安定生産を支援するために開発中の天水稲作版意思決定支援システムWeRiseプロトタイプをインターネットを使って実演しました。世界の各地で気候変動が激しく予想から外れることが頻繁になってきている中で、雨水に頼らざるを得ない天水稲作農民は、高価な種子や肥料を無駄にしたり収穫皆無など大きな困難に直面しています。日本は潅漑水田ばかりですが、その日本でも近年水不足に陥ることが再三起こっています。潅漑には施設整備や水の確保などに多額の費用がかかり、例えば、インドネシアでは天水田2百万haに610億ドル、ラオスでは50万haに160億ドルかかると推計されています。このような難しい条件下で、これまでの気象観測データに裏打ちされた天候の予測、気候変動や様々な土壌条件に対応した水稲の生育モデルを駆使した収量予測などを組み合わせた東南アジア向けの意思決定支援システムが構築されました。天気予測に応じた種播きの時期や収量などを予測する、気候変動の影響を緩和するためのシステムです。参加者は留学生や海外からの研修員等学内外から30名弱でしたが、WeRiseの受益者農民への普及をどの様に進めていくのか、今はインドネシアとラオスの2ヶ国が対象ですが、他の国に広めていく上での困難な点は何かなどについて議論を深めました。
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概要
開催日時 |
2014年04月14日(月)15時30分 - 17時00分 |
開催場所 |
名古屋大学農学部第6講義室 |
講演者 |
林 慶一 ((独)国際農林水産業研究センター生産環境畜産領域副プロジェクトリーダー(気候変動対応)) |
言語 |
英語 |
東南アジア稲作における天水田の占める割合は未だ高く、天水田は気象予測が難しいので高リスク不安定生産が問題である。この問題を解決するため、農林水産省拠出金によるIRRIでの国際プロジェクトでは、天水稲作での播種/移植適期、適性品種と予想達成可能収量、施肥管理に関する情報を作付け開始の3ヵ月前までに提供するため、季節予報を活用したWebアプリ版意思決定支援システムの開発に取り組んでいる。本講演では、研究活動の紹介と開発中のWebアプリの実演を通じ、アジアにおける気候変動対応策に関する研究の方向性について議論を行う。
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