農学国際教育協力研究センター(ICCAE)は、4月22日(火)、桂圭佑京都大学大学院農学研究科附属農場助教(2013年度ICCAE客員准教授)を講師として迎え、2014年度第2回オープンセミナーを開催しました。今回のセミナーでは、「イネの好気土壌への適応性」の演題で、灌漑畑条件における稲作生産性に関する研究成果が紹介されました。養水分を積極的に投入し、イネを畑条件で集約的に生産する灌漑畑稲作は、有望な節水栽培技術として期待されています。本セミナーにおいては、灌漑畑条件においてもインド型の短稈高収量品種を使うことによって10 t ha-1を超える多収が達成可能であることが示されました。また、イネの好気土壌条件に対する作物生理的反応について、桂氏の研究成果に基づき概説されました。しかし、桂氏によると、イネの好気土壌適応性に関する作物生理学的な研究は、まだ十分行われておらず、集約的畑栽培で求められる品種特性や栽培管理技術については十分な知見が得られていないとのことでした。講演後には、集約的な灌漑畑稲作の普及の可能性や好気土壌適応性に関わるイネの形質などについて、東南アジアやアフリカからの研修生を含む多数の参加者との間で活発な質疑応答が行われ、盛況なセミナーとなりました。
養水分を積極的に投入し、イネを畑条件で栽培する集約的畑栽培は有望な節水栽培技術として期待されている。この集約的畑栽培では、温帯では日本で報告された11.4 t ha-1という最多収事例を筆頭に、しばしば9 t ha-1を超える多収事例が多く報告されている。一方で、熱帯での集約的畑栽培の収量は8 t ha-1に満たず、収量改善の余地がある。本セミナーでは、イネの好気土壌条件に対する作物生理的反応を概説し、集約的畑栽培で求められる品種特性や栽培管理について議論をしたい。