開催報告

農学国際教育協力研究センターは、2015年度第1回オープンセミナーを4月28日に開催しました。講演者のロエル　スラルタ氏は、現在、フィリピン国立イネ研究所の主任研究員で、名古屋大学大学院生命農学研究科に日本学術振興会外国人特別研究員として２年間招へいされました。アジアには、灌漑施設を持たず不安定な降雨に頼ってイネを栽培する天水田が広範に存在し、アジアでのコメ増産を実現するためには、天水田における生産性の向上が鍵です。これまでの研究の多くは、天水田における低生産性の原因を主に土壌水分欠乏に求めてきましたが、最新の研究からは、土壌水分の変動（干ばつと湛水の繰り返し）も大きなストレスであることが示されています。同氏は、このような土壌水ストレス条件下における作物の適応性と生産性維持には、根の可塑性が重要な形質であることを、ご自身の研究成果をもとに指摘され、今後の研究の方向性について議論されました。