生物遺伝情報研究室の紹介
生物遺伝情報研究室では、まずは遺伝情報と有用形質との関わりをしっかりと理解し、その知見を利用して耐性作物品種を育成することを目指しています。
例えば上図に示すように、乾燥ストレス下では植物は水不足を回避するために根域を拡大して積極的に水の確保を試みます(図A)。そこでこの遺伝的な仕組みを理解して、根域を拡大する能力をさらに高めることで乾燥ストレスに強いイネ品種を育成することを目指しています。最近、徐々にこの仕組みが分かってきており、水がたくさんある場合は余分な根をつくらないようにQHB/OsWOX5遺伝子が根域の拡大を防いでいますが(図B)、土壌が乾燥するとOsWOX10遺伝子の発現が誘導され、根域の拡大がどんどんと促されます(図C)。その際、形成過程の側根原基では植物ホルモンのオーキシンが蓄積することで、このOsWOX10遺伝子の発現誘導が生じます(図D)。
一方、どのような仕組みでオーキシンの蓄積が起こるのか、その後にどうOsWOX10遺伝子が誘導されるのか、またその下流ではどのような遺伝子が作用するのかなど、まだまだ分からないことばかりです(図E)。
耐性品種の育成を目指し、一緒に研究を進めてくれる院生さんを絶賛募集中です!
メンバー
JSPS外国人特別研究員 | WAINAINA, Cornelius Mbathi |
修士院生 | DONG, Yihao ・ 金生 真綾 ・ 櫛田 聖也 |
技術補佐員 | 犬飼 公世 ・ 村上 栄子 |
最新の研究
What's new
-
2022年11月25日
JSPS外国人特別研究員として2年間滞在されたWainaina博士が、とうとう来週帰国されます。滞在中、とても親切に院生さんをご指導下さり、心より感謝申しあげます。いつかまた、アフリカの大地でお目にかかるのを楽しみにしています。Asante sana !!
-
2022年10月12日
今年はとても多くの遺伝解析用の材料を学内や農場の水田にて栽培しました。大変でしたが、今日までにほぼ収穫を終えることができました。凄いのも見つかりつつあり、これらを用いた今後の研究展開が楽しみです!ラボのみなさん、お疲れ様でした。
-
2022年9月23-25日
こちらも久しぶりに対面にて開催された日本育種学会第142回講演会@帯広畜産大学にて、赤星さんが研究成果を発表されました。また、元農国センター研究員の鮫島さんや名大院生命農OGの亀岡先生に、北農試や酪農学園大学の圃場を見学させて頂くことができ、北の大地の農業について大変勉強になりました。さらに、札幌にて勤務されている元指導生の神野さんにも再会でき、楽しい時間を過ごせました。みなさま、大変お世話になりありがとうございました!
-
2022年9月17-18日
久しぶりに対面にて開催された第56回根研究集会@九州大学にて、YihaoさんとWainainaさんが研究成果を発表されました。当日は土壌モノリス(断片標本)の作製実習もあり、土壌のできかたや働き、その調査法について学ぶ貴重な体験ができました。
-
-
2022年7月13日
名大・生物機能開発利用研究センターの佐塚先生らとの共同研究として進めている、イネ科の高バイオマス作物「ソルガム」のサンプリングを両ラボメンバーで行いました。今後、ゲノムワイド関連解析により、更なる高バイオマス性をもたらす重要遺伝子座が検出できるかどうか楽しみです。
-
-
-
2022年3月25日
大学院生・河合さんが、西オーストラリア大学とのジョイントディグリープログラムにて博士号を取得しました。おめでとう!
-
-
-
-
2021年9月10日
大学院生・河合さんが、第10回アジア作物学会議優秀発表賞を受賞しました。
-
-
-
2021年4月28日
大学院生・河合さん、神野さんが、第139回講演会日本育種学会優秀発表賞をそれぞれ受賞しました。
-
2021年4月12日
書籍「農学分野で国際協力を職業にしたいなら」を公開しました。
こちらから自由にダウンロードできます
-
2021年3月25日
大学院生・長谷川さんが博士号、神野さんが修士号を取得しました。おめでとう!
-
-
-
2020年11月21日
以下の論文が根研究学会論文賞に選ばれました。10年以上も前に掲載された論文ですが、その後のダウンロード数の多さが受賞の理由とのことで、多くの方々に読んで頂けたことを大変嬉しく思います。
Kitomi, Y., Ogawa, A., Kitano, H. and Inukai, Y. 2008.
CRL4 regulates crown root formation through auxin transport in rice.
Plant Root 2: 19-28.
-
-
2020年8月21日
ジョモケニヤッタ農工大学のWAINAINA, Cornelius Mbathi博士が2020年度JSPS外国人特別研究員に採択されました。本年12月より2年間、当研究室にて「水管理により誘導される出穂遅延機構の解析とその冷害回避育種への応用」と題する研究に従事されます。
-
-
-
2020年3月25日
大学院生・Lucob-Agustin さん、縣さんが博士号を取得しました。おめでとう!
-
-
2019年12月24日
大学院生・河合さんが、2020年度若手研究者海外挑戦プログラム(研究課題名:イネ異形側根の発生メカニズム解明と圧縮土壌耐性における機能解析、派遣先:オーストラリア)に採択されました。
-
2019年11月23日
〜2019年11月24日
第50回記念根研究集会を、名古屋大学で開催しました。大学院生・河合さんが、本集会にて優秀発表賞を受賞しました。
-
2019年9月27日
大学院生・河合さん、神野さんが、NBRPイネ オープンフィールド @ 遺伝研 に参加しました。
-
-
2019年7月31日
大学院生・長谷川さんが、2019年度若手研究者海外挑戦プログラム(研究課題名:ケニアにおけるイネ冷害回避技術の開発:水環境管理により誘導する出穂遅延の利用、派遣先:ケニア共和国)に採択されました。
-
2019年7月11日
大学院生・Lucob-Agustinさん、長谷川さんが、JICA稲作研修生にDNAマーカー選抜法についての実習を担当しました。
-
2019年6月17日
大学院生・縣さんが、名古屋大学学術奨励賞を受賞しました。
-
-
2019年4月1日
〜2021年3月31日
農学国際教育研究センター・研究機関研究員として、井成博士が当研究室にて「不適環境下での安定生産を目指したイネの遺伝的改良」と題する研究に従事されました。現在は東海学園大学教員として活躍されています。
-
2019年2月1日
〜2019年3月30日
農学国際教育研究センター・外国人客員研究員として、フィリピン稲研究所・遺伝資源部門長・NIONES Jonathan Manito博士が当研究室にて研究に従事され、また下記のセミナーにてご講演頂きました。
-
2018年10月12日
大学院生・長谷川さんが、2019年度日本学術振興会特別研究員(研究課題名:水環境管理により誘導される出穂遅延能力を利用したイネ冷害回避技術の開発)に採択されました。
-
2018年7月10日
大学院生・Lucob-Agustinさんが、
10th ISRR @ Israel にて"Functional Analysis of a Mutation Promoting Lateral Root Development via Carbohydrate Regulation in Rice"と題する研究成果を発表しました。
卒業生の主な就職先
- 独立行政法人国際協力機構(JICA)
- 株式会社日本経済新聞社
- 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
- 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構・NARO)
- 国立遺伝学研究所
- Philippine Rice Research Institute(フィリピン共和国)
- Jomo Kenyatta University of Agriculture and Technology (ケニア共和国)