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        ケニアにおけるイネ研究プロジェクト(aXis)の進捗状況
     JST「持続可能開発目標達成支援事業(aXis)」による支援を受けて、ケニアで2020年5月より実施している「ケニアの稲作生産性向上に向けた改良イネ品種の導入と栽培技術の高度化」では、有用農業形質遺伝子を交配とマーカー選抜で導入したイネ品種と、その能力を最大限に発揮させる栽培技術の組み合わせによる生産性向上の実証に取り組んでいます。プロジェクト開始時から現在に至るまで、新型コロナウイルスの感染拡大のため海外渡航が出来ないという困難な状況が続いていますが、ケニア農畜産業研究機構(KALRO)のカウンターパート研究者の協力の下、現地での研究活動を推進しています。これまでに、ケニアの主力イネ品種の耐冷性や収量性を改良した育成系統をケニアでの品種登録に出願し、現在、承認を得るための栽培試験を実施中です。また、さらなる品種改良に向けて、ケニアと日本において交配と選抜を進めています。陸稲品種NERICA 1に籾数増加遺伝子を導入した育成系統の収量と収量構成要素に及ぼす栽培環境および施肥量の影響について調査するための連絡栽培試験や耐冷性を強化した系統を使った二期作の実証試験も実施しています。
 新型コロナウイルスを巡る状況が早期に改善し、延期されているケニアから研究者を招へいしての研修なども含め、フルスロットルでプロジェクトが実施できるようになることを願っています。
 (槇原大悟)SATREPS事業でのコロナ渦における技術協力・普及活動の進捗状況
     地球規模課題対応国際科学技術プログラム(SATREPS)「ベトナム、カンボジア、タイにおけるキャッサバの侵入病害虫対策に基づく持続的生産システムの開発と普及」は、九州大学を中心とした研究チームによって2016年より実施中です。我々人間は、コロナ・ウィルスとの戦いの日々ですが、キャッサバ生産者もキャッサバモザイク病というウィルス病と戦う日々です。キャッサバモザイク病は、この数年ベトナムやカンボジアにおいて感染が深刻化しています。日本人専門家の現地渡航ができない中、キャッサバ農家に対する研修や情報普及をどのように実施するのかが今年度の課題になっています。カンボジアでは、キャッサバモザイク病への感染地域が拡大する中、感染予防策や感染時の対処法に関する研修を受講したいという要望が、多くのキャッサバ農家から出ています。カウンターパートのバッタンバン大学だけで対応ができるのか心配していましたが、日本人に依存できない分、主体的に動けるようになってきたと感じます。これはコロナ渦における想定外のプラス効果かも知れません。プロジェクト活動の状況は、下記のリンクよりご覧ください。
 (伊藤香純)
        海外の協定校とのオンラインによる国際カンファレンス
     
 今年はコロナ禍で世界各地において国際会議やシンポジウム等の開催が延期となっていますが、オンラインでのイベント開催は第2四半期から活発になっており、農国センターも今期は3件のオンラインによる国際カンファレンス等に参画しました。いずれも短期間で企画したにもかかわらず500人前後と多くの参加者を得て、様々なセクターとの情報共有を行うことができました。
 
Webinar CoE PLACE UNSRI "Increasing Degraded Peatland Productivity through Agrosilvofishery and Paludiculture"2020年6月22日に農国センターの部局間協定校であるインドネシア・スリウィジャヤ大学 (UNSRI) のCoE PLACE (Center of Excellence Peatland Conservation and Productivity Improvement) によるWebinarにおいて、"Sago Palm Performance in Problem Soils" のタイトルで泥炭湿地などの問題土壌でのサゴヤシの適応能力について講演しました。
PIU UGM "Agri-entrepreneurship Based on Innovation and Downstream Research"2020年8月19日に大学間協定校であるインドネシア・ガジャマダ大学 (UGM) のJICA有償資金協力を受けたProject Implementation Unit (PIU) と農学部による催しで、"Innovation and Downstream Agricultural Research in Japan" と題して講演を行いました。名古屋大学と連携機関による人材育成の取り組みについて紹介するとともに、科研費特設分野・次世代の農資源利用から、生物機能開発利用研究センター・野田口理孝准教授による「持続可能な農業へ向けた接木革新ユニット」の最新の成果や、農国センターが学内外の連携組織と推進している「インターディシプリナリーアプローチによるサゴヤシの商品作物化」研究の進捗、農国センター・伊藤香純准教授らがカンボジアで行った「農作物・加工品の安全性向上」に関するJICA草の根技術協力事業の成果を紹介しました。
"International E-conference of Sustainable Agriculture and Farming System"2020年9月24・25日に生命農学研究科の部局間協定校であるインドネシア・IPB大学農学部、インドネシア西部地域国立高等教育協力機構、東南アジア国際農学会が開催したEカンファレンスにScientific Committeeとして参画し、アブラヤシの持続的栽培に関するスペシャルセッションのモデレーターを務めました。
 (江原宏) |