サゴヤシは、東南アジア、オセアニアに生育する澱粉資源植物です。1本の幹に乾燥重量として200kgを超える澱粉が蓄積されており、1ha当たり20tを超える澱粉を収穫できます。近年は、SDGsの達成に役立つ環境保全型植物として注目を集めています。酸性土壌や塩害、湿地といった問題土壌、気候変動に伴う洪水にも適応できる強靭さが特徴です。日本は、サゴ澱粉を年間で2万t強を輸入する、最大の輸入国で、主に加工澱粉として麺類の打ち粉に利用しています。これまでわらび餅やクッキー、ハルサメなどへの利用研究が行われてきましたが、タンパク質含量が少ないため、低アレルゲン素材としての開発やグルテンフリーパスタの研究も行われており、新たな用途開発が広がることが期待されています。
14回目となる今回の国際サゴシンポジウムは、「SDGsの達成に向けたサゴヤシの役割」をテーマとし、変動する国際社会情勢の影響下における食料安全保障や、深刻な気候変動下における環境保全、社会の強靭性の維持・向上、それを支える文化的側面の継続性などを含めて議論します。参加国は東南アジアやオセアニア、ヨーロッパ、アメリカからの10カ国を予定し、共催のアジア農学系大学連合(AAACU)との合同セッションも行います。シンポジウムの詳細は以下の通りです。